女性なのに、自分は「本当は男なんだ、男として生きるのが当たり前」と考えたり、男性なのに「本当は女性と
して生きるべきだ」と思うってしまう状況が「性同一性障害( GID)」です。
性別といえば、「男性」「女性」の2つに分かれると一般的には考えます。しかし、性別には生物学的性別
と、自分の性別をどのように脳が認識するのかというという面が一致していることが必要だといわれていま
す。男なら「自分は男性」、女性なら「自分は女性」だと考えるわけですね。この性別の自己意識あるいは
自己認知をジェンダー・アイデンティティと呼びます。
実際には、一部の人ではこの両者が一致しない場合があります。その状態を「性同一症(性同一性障害)」
といいます。
男性と女性/発達障害
男性と女性は、本来は役割が違い、男性=狩り・女性=子育て・家事という分担がありました。ところが、
時代の流れとともに両者の役割は近接してきています。女性の社会進出という形で表面化していますね。
自分の身体的な性に対する持続的な不快感、あるいは嫌悪感、またその役割についての不適切感があります。
それと同時に自分とは反対の性に対して、身体的にも同じようになりたい、社会的にも反対の性で受け入れ
られたいなどの強い気持ちをもちます。
思春期になって胸がふくらんでくると、さらしを巻いて隠すというようなことが起こります。また、反対
(体が男性、心は女性)であれば、ペニスや睾丸がいやでたまらない、ヒゲが生えているのが自分らしくな
いなどと感じ、できるだけスーツを着たりネクタイをするのを避けるようになったりします。
日本での治療は、日本精神神経学会のガイドラインに沿って行われます。治療は領域を異にする専門家の医
療チームによって行われます。 主として精神科領域の治療(精神的サポート)と身体的治療(ホルモン療法
と性別適合手術)の2つに大別されます。性別の不一致感は世間に認められているとはまだまだ言えず、そ
のことで悩んだり、落ち込んだり、情緒が不安定になることも多いです。
性同一症の診断や治療ができる医療施設も多くはありませんし、身体的手術を要する場合もあります。
山手心理相談室にお見えになる方の中には、ADHDなどの発達障害を併発されている方も多いです。気持ち
と考え方の安定を図って、自分がどう生きるべきかを一緒に考えましょう。