境界性人格(パーソナリティ)障害
破滅的な人生の背後にはさまざまな事象があることはみなさまご存知のことと思いますが、その中に多く存在
するのが境界性人格(パーソナチティ)障害だといえます。
特徴的な症状は
*気分の移り変わりが早すぎ、売れているうちはよくても、売れなくなれば破壊的な生活を送ってしまう。
*自分の立場を一瞬にして忘れ、怒鳴りまくったり、話を一方的に・相手が降参するまで続ける。
*周囲が全員悪いといっても、自分の非は絶対に認めない。
ニュースやネットなどで見られた方もあるでしょう。
境界性パーソナリティ障害という言葉には耳慣れない方が多いのではないでしょうか。「境界性」の「境界」
はもともと神経症と渡欧号失調症の境目を意味していましたが、現在では特別な意味はありません。
境界性人格障害はけっして稀な病気ではありません。成人の5%ぐらいが予備軍で、その内訳では若い女性が
多いようです。
症状の問題点と改善方法
総合的な考え方ができず、気分が不安定で感情の起伏は著しく激しい症状です。一般的にはあるはずの「自己
のイメージ」があいまいで、安定した人間関係、キャリアを築くことが困難です。また人生に空虚感を抱きが
ちで、過度の飲酒・男女交際・衝動買い・過食といった自傷的な行動に走ってしまうことも多いです。
近年、境界性人格障害の
治療法には進歩がみられ、症状の改善は十分期待できるといわれていますが、実際に
は対応できる医師やカウンセラーは少ないです。相手に対する「こきおろし」があまりに激しいため、設備の
整った複数対応可能な施設に限定されています。治療は服薬とカウンセリングが中心になります。
心を不安定化する状況への耐性をつけ、同時に心が不安定になった時に衝動的にしてしまいやすい衝動買い、
飲酒などの行為を、他の問題になりにくい行為(スポーツなど)に置き換えられるよう訓練します。
感情や衝動のコントロール問題は、医師やカウンセラーとの関係においても現われやすいので、治療そのものに
イライラしてしまったり、信頼関係をうまく築くのが難しかったりと、心理療法を難しくしてしまうことも多
くあります。境界性パーソナリティ障害では、外来での通院療法ではなく、以下のように入院療法が望ましい
場合があります。たとえば、
- 自殺のリスクがある
- 自傷行為がコントロール不能になる
- 現実認識が顕著に低下している
このような場合、入院中は集中的に薬物療法、心理療法を受けることができ、同時にアルコール依存など境界性
パーソナリティ障害に伴いやすい問題に対処できるという利点があります。さらに、家族など周囲の人との深刻
な対立が症状を悪化させているような状況では、入院することで、それまでの環境から避難できるというメリッ
トもあります。
境界性パーソナリティ的な気質を有していると気付いた場合は、生じている問題の深刻度に応じて、精神科(神
経内科)などで相談することを考慮してみましょう。