「無意識」という言葉には大きく分けて次のような意味があります。
1.意識喪失
大脳の働きがほとんどないか、あるいはあっても弱い状態。精神医学などの領域で使用されます。
2.認識できない
自制心で自分の行動がコントロールできない状態。たとえば、定年間際の方が、もう少しだけ辛抱すれば
定年という時期になぜか万引きをしたり(それも数百円程度の)また相当高い年齢になって、急に痴漢などの
行為を行うようになったりします。
なぜ「無意識」にそのような行為をするのか
上記のように、通常の状態では考えられない行為をする場合、なぜそんなことをするのかという疑問がわい
てきませんか。
よく「気質」や「本能」という言い方で記載されますが、人はだれでも心の内部に、自分でも認識できない
「無意識」という領域が存在しています。
つらすぎて受け入れがたい記憶、状況が判断できずに理解が困難な記憶などは、解決が保留されたまま忘却
されて無意識化すると言われています。しかし、それらは決して脳の内部から消え去ったわけではなく、その
人の行動や思考に影響を与え続けます。強迫神経症・不安神経症やうつなどの神経症症状の多くの部分はこの
ように無意識化した経験からの影響だということになります。
ユングは、「普遍的無意識」という人類に共通する「無意識の領域」があると考えました。国や時代を超え
て、人が同じようなことに喜怒哀楽を表現する現象(=心がうたれる・感動する)はその「無意識の領域」が
ある効果だということになります。
その部分があるために、人は自制心がきかず欲望のままに動いてしまう場合があります。上記のようなケース
では、本人には悪いという意識がなくなってしまうために、周囲がいくら注意してもやめることが難しいので
す。依存症などでも同じ傾向が見られます。