共依存を分かりやすくいえば「愛情という名目(言い訳)でお互いに相手を支配すること」です。自分と特定
の相手(配偶者・母親・子供など)がその関係を超越して依存するという「人間関係に囚われている」状態を
そう呼んでいます。周囲から見ると「マザコン」を超えて病的 な人間関係とみられることが多い症状です。
共依存関係にある人たちは、「離れないといけないと思いつつ離れられない関係」にあるといえます。相手に
必要とされることで、自分の存在意義を見い出している状態と言い換えることもできるでしょう。
たとえば、子供を困らせて支配するお母さんと、そのお母さんを心配して世話をすることで逆に支配する子供
との間のような「硬直した二者関係」のことをいいます。原因としては、子ども時代のトラウマや、育ってき
た家庭内の機能不全状況に適応する(過剰適応)ことなどがあげられます。
自分が生まれ育った家族の中で、こころの発達や分化のための大切なプロセスを体験できなかったために、大人
になってからも人間関係がうまく行かなかったり、日常生活に支障をきたしたり、生きにくかったりします。
自尊感情や自己肯定感がもてない、自分と他人の境界がつくれない、適切なセルフケアができないなどの特徴が
あります。虐待、DVなどの人間関係の問題・さまざまなアディクションは、多くの場合共依存をベースに生じ
ています。また、長引くうつ・強迫行動などの心身の不調のベースになることもあります。
・アルコール依存症の夫と妻
・摂食障害の娘と母
・不登校の子と母
・ギャンブル依存症の夫と妻
などのように、問題を起こす人とその側にいる人との関係で、その関係がお互いに不幸という場合は共依存とい
えます。共依存の行動様式は、アメリカやヨーロッパほど家族間の独立状態に至っていない日本ではよくみられ
ます。逆に共依存的な人ほど、周囲から見れば他人の世話をする「よい人」としてみられがちです。
共依存の結果として、以下のような状態が発生することもあります。
- 自分の都合のいいように、他の人に対して「あなたはこうあるべきだ」と言いくるめて支配しようとする。または、そう思い込む。
- 自己を守れなかったことを、他人(兄弟や親友など)のせいにする。
- 他人を自分にとっての神様のように感じる。または自分が人の神様のようになろうする。自分と人の関係を上か下という基準で決めてしまう傾向がある。
- アディクションや心身の病気が起きやすくなる。
- ありのままの自分を開示できないために、適切な人間関係構築が困難になる。